2019年1月7日月曜日

家庭医療に関する疑問と回答(part 7)



Kozakowski SM et al. Responses to Medical Students' Frequently Asked Questions About Family Medicine. Am Fam Physician. 2016 Feb 1;93(3):Online. (PMID: 26926619)


家庭医療について医学生が抱きがちな疑問にたいして,Q & Aでまとめています.
日本でも米国でもこの辺りの事情はあまり変わらないですね.


回答は当然米国の状況を反映しているものですが,読んでいて非常に面白いです,
何回かに分けて訳します.


家庭医はどのようにして専門の幅を超えて医学の進歩に遅れないようにしているのか

 専門に関わらず,全ての医師は患者に可能な限り最善の医療を提供する義務がある.家庭医療は専門領域の幅が広すぎて知る必要があることを全て学ぶことなどできないのではと心配になるかもしれないが,それは全くの間違いである.家庭医療のレジデンシーでは大多数の患者の心配事を上手に管理し,自分の限界を認識し,資源を活用し,生涯学習のスキルをコアとなるスキルを学ぶことができる.

 医学は進歩するため,最新かつ最良の医学的エビデンスを知っておくことは重要である.家庭医は情報源を数多く持っており,あなたが好きな学習スタイルに合うものもあるだろう.これらの情報源には,生の事例や机上の事例,モノグラフ,オーディオポッドキャスト(米国家庭医療学会のポッドキャストなど),雑誌(American Family Physicianなど)などがある.医療アプリの活用はここ数年で急増しており,ベッドサイドツールとしてのみならず継続的な医学教育の機会にもなる.


医学教育と家庭医キャリアの経済面での現実はどうか?

 医学教育を受けるのは金銭的負担であり,医学生はほぼ全員,研修期間に多額の借金を背負うことになる.米国医科大学協会は2014年10月に,借金の中央値は18万ドルであると報告した.家庭医の給料は,しっかり計画して,様々な返済オプションを使えば,借金の返済がゆったりと可能である生活を保障する.

 返済免除または返済支援プログラムに加入することを計画している医学生は3人に1人を越える.このようなプログラムは通常,返済免除の代わりに医療資源の乏しい地域で診療を行うことをレジデントの卒業生に求めるが,その場合でも他の臨床医と同様の給与と利益は確保される.

 2006年以降,家庭医は最も求人の多い専門科であり,初任給の平均は19万8千ドルである.家庭医の需要が高まるにつれ,給与も高くなっている.カリフォルニア南部のある大規模な統合医療システムでは,最近になり家庭医の初任給を25万ドルに増額した.平均的な家庭医の給与は米国全体での世帯収入の上位6%に入っている.