Family Practice, 2022;, cmac083,
COVID-19のパンデミックにより、プライマリ・ケアの受診が減りました。
この受診抑制により、がんの診断がどのような影響を受けたのかを分析しています。
2014年1月から2021年12月までの電子カルテデータを用い、トレンドと季節性で調整した時間回帰を用いて、人口10万人あたりの月間がん診断率の予測値を求めました。
そのうえで、2019年のがん診断率と2020年、2021年のがん診断率をt検定で比較しました。
その結果、2020年のがん診断の割合は2019年と比較して-21%減少していました。
とりわけ、2020年初頭のロックダウン期間中では40%以上減少していました。
前立腺がんと皮膚がんでは減少の幅がより大きく、それぞれ29.6%減少、26.9%減少でした。
一方、肺がんは統計的に有意な差はありませんでした。
がん診断は2021年3月頃に期待値に戻り、2021年の割合は2019年とほぼ同じでした。
しかし、2020-2021年のパンデミック月とパンデミック前の月を比較すると、やはり11%の減少が見られました。
ポイントとしては、
①がん診断の割合はパンデミック前に戻った。しかし、パンデミック中に診断されなかったケースを取り返すほどではない。
②前立腺がんと皮膚がんで診断されず取り残されている人が多いはず。
普段から意識しましょう。