2022年1月21日金曜日

周縁化されている患者を研究にリクルートする時には…


家庭医療学の研究にも、基礎研究に当たるものがあります。


例えば、この論文。

Ravensbergen WM, Blom JW, Evers AW, Numans ME, de Waal MW, Gussekloo J. Measuring daily functioning in older persons using a frailty index: a cohort study based on routine primary care data. Br J Gen Pract. 2020 Nov 26;70(701):e866-e873.


高齢者のフレイルについて研究したいと思ったときに,どのようにフレイルを測定すればいいのか,という問題に突き当たります.

通常は,妥当性の確認された質問紙を用いて測定をするわけですが,これだと手間もお金もかかってしまいます。それが日常診療の電子カルテデータを用いて評価できたら嬉しいですよね.

そこで,特に研究を意識せずに日常診療で集めた情報だけが載っている電子カルテデータを用いて妥当なフレイルの測定ができないかやってみた、という研究です。結果は、うまくいかなかったようです。


昨日付でJ Gen Intern Medに公開された論文も、基礎研究にあたるものです。

いわゆる「マイノリティ」や辺縁化された方を研究にリクルートする際には、待合室にテーブルを置いて対面するのが良い、という論旨です。


Wambua M, Vang M, Audi C, Linzer M, Eton DT. Lessons Learned: Recruiting Research Participants from an Underrepresented Patient Population at a Safety Net Hospital. J Gen Intern Med. 2022 Jan 20. doi: 10.1007/s11606-021-07258-7. Epub ahead of print. PMID: 35048288.


複数の慢性疾患(MCC)を有する患者の治療負担を評価する研究において、異なるリクルート戦略の有効性を比較するしています。


比べたのは、郵便でのリクルート、待合室にテーブルを置いての対面、電話の3つです。

この研究は、セーフティネット上にある方を対象としています。

参加者の半数以上がアフリカ系アメリカ人またはアフリカ系移民であったとのことです。

そして、対面式のリクルートが最も迅速かつ高率にリクルートできた、という結果になりました。


少なくとも、社会的に周縁化されている方を研究にリクルートする際には、対面で行うのがよさそうですね。