Rogers EA, Abi H, Linzer M, Eton DT. Treatment Burden in People with Hypertension is Correlated with Patient Experience with Self-Management. J Am Board Fam Med. 2021 Nov-Dec;34(6):1243-1245. doi: 10.3122/jabfm.2021.06.210191. PMID: 34772780.
https://www.jabfm.org/content/34/6/1243
家庭医として、高血圧患者を診療する機会は当然ながらたくさんあります。
最近の診療ガイドラインは、厳格な降圧を推奨している印象があり、実際にこれをすべての患者でやると大変だなという感覚がありました。
大変、というのは、「医師が大変」という意味ではなく、「患者が大変」ということです。
私のマインドラインはおそらくこんな感じです。
・比較的若年でsingle issueであれば降圧は厳格に。
・高齢でも元気に診療所まで歩いてやってくる方は、現行の治療で厳密な降圧が出来ているならそのままで。
・multimorbidityであったりfrailであったりすれば無理しない。
・ただ、高血圧によると思われる心不全がある場合には気合を入れてコントロール。
・ADLの低下した患者では、例外を除き血圧高値を許容する。
・患者にとって血圧管理の優先度が低ければ、血圧の値はいちいちうるさく言わない。
さて、本研究では、たくさん薬を飲んだり生活を改善したりしないといけない高血圧患者に対し、治療負荷treatment burdenと患者の自己管理との関係性が検討されています。
高血圧患者254名を対象としたところ、「自己管理能力に対する自信がない」、「ヘルスリテラシーが低い」、「経済的に困難である」、「対人スキルの低い医療従事者にかかっている」と回答した患者で、治療負担のスコアが高いことが分かりました。
治療負荷が高くなると、「できるひとはできるけどできないひとはしない」になっていき、格差につながる危険性があると筆者たちは主張しています。