Caverly TJ, Skurla SE, Klamerus ML, Sparks JB, Kerr EA, Hofer TP, Reed D, Damschroder LJ. Applying User-Centered Design to Develop Practical Strategies that Address Overuse in Primary Care. J Gen Intern Med. 2021 Sep 17. doi: 10.1007/s11606-021-07124-6. Epub ahead of print. PMID: 34535845.
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11606-021-07124-6
個人的に2021年で一番感銘を受けた家庭医療学領域の論文です。
前提知識が必要なのでまずはごく簡単に。
●de-intensification
治療・介入強度を必要に応じて下げること。
著者たちは本研究の前に文献レビューをしていて、以下の3つが優先度の高いde-inteisificationであると同定しています。
1. 高リスク患者における糖尿病治療の緩和
2. 無症候性患者における頸動脈狭窄症のスクリーニングの中止
3. 平均的リスクの高齢者における大腸がんスクリーニングの中止
●共同創造co-design
当事者と研究者がともに研究を行い、研究のゴールや成果物を協働して作成すること
例えば、医学部の研究者が統合失調症の治療について研究する際に、
従来は研究者が決めたアウトカム(幻聴が聞こえなくなること、など)で効果を判定していたが、
共同創造では、当事者(患者自身)がアウトカムの設定に積極的に関与する。
研究の成果物についても研究者と当事者の協働の産物とする。
極端に言葉を省略していうと「自分がどうなりたいかは自分が決める」。
この研究は、とても単純化していうと
de-intensificationをどのように進めていけばよいのか
現状の問題点はどこにあり、どう克服すればよいのか、について
患者と臨床家が共同創造した研究 となります。
研究のプロセスはいろいろ複雑なので、本文をお読みください。
共同創造や当事者研究を用いた家庭医療学研究というのは、ある意味で真っ当な方向性だと思います。
特にSDHに関連するテーマだと、共同創造せずにどうするか、というところまで進化するかもしれません。
患者に丁寧に誠実に向き合っている研究だと感じました。