2021年9月10日金曜日

脆弱な高齢者の障害を軽減する在宅プログラムの効果

Szanton SL, Leff B, Li Q, Breysse J, Spoelstra S, Kell J, Purvis J, Xue QL, Wilson J, Gitlin LN. CAPABLE program improves disability in multiple randomized trials. J Am Geriatr Soc. 2021 Jul 27. doi: 10.1111/jgs.17383. Epub ahead of print. PMID: 34314516.

https://agsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.17383


生活機能動作に障害のある高齢者は、家庭医にとっても頻繁に出会う集団です。

その障害をどのようにしたら軽減できるのか、という問いに向き合っている研究です。


本誌のEditorialから抜粋すると…

CAPABLEプログラムは、作業療法士(OT)と正看護師(RN)が連携して評価を行い、その結果に基づいてカスタマイズされたアクションプランを提供する、5カ月間で10回のセッションを行う在宅型プログラムである。

このプログラムの斬新な点の一つは、家庭内の潜在的な危険性や自立機能を阻害するその他の環境に対処するために、家周りの改修業者(handyworker)によるサービスを提供することである。

参加者は、OTによる1時間のホームセッションを最大6回、RNによる1時間のホームセッションを最大4回受けることができ、最大1,300ドルの住宅修理、改造、補助器具の提供を受けることができる。CAPABLEの提供にかかる総費用は、訪問、消耗品、チームの調整、走行距離、部品、労働力などを含めて、一人当たり約3,000ドルである。

このプログラムは、低所得の高齢者という恵まれない環境にある人々にほぼ焦点を当てており、女性とアフリカ系アメリカ人の割合が高いのが特徴である。

(https://agsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.17440?af=R)


つまり、障害のある高齢者が自宅の生活をよりよく送るために、

・OTと看護師による在宅での患者指導と

・家屋改修

を組み合わせています。


このプログラムについては、RCTが3本、実装後の研究が3本なされており、それをまとめたのがこの論文です。

6つの試験すべてにおいて、ADLおよびIADLの改善が確認されたとのことです。

また、コストについて検討した4論文では、コスト削減も示されたとのことです。


プログラムの効果を明らかにするためにRCTを(コントロール群を変えながら)複数行って、さらに実装研究もおこなって、RCTと実装後の結果を統合して発表するという、お手本のような流れです。美しいです。