2018年12月17日月曜日

家庭医療に対する疑問と回答(part 4)



Kozakowski SM et al. Responses to Medical Students' Frequently Asked Questions About Family Medicine. Am Fam Physician. 2016 Feb 1;93(3):Online. (PMID: 26926619)

家庭医療について医学生が抱きがちな疑問にたいして,Q & Aでまとめています.
日本でも米国でもこの辺りの事情はあまり変わらないですね.

回答は当然米国の状況を反映しているものですが,読んでいて非常に面白いです,
何回かに分けて訳します.


家庭医療の研修について何を知っておく必要があるか

 家庭医療レジデンシー研修の目標は、卒業するころには包括的かつ継続的なケアをあらゆる年齢層の患者に提供できるようになることである。このような教育での肝腎なポイントは、診療のその場その場で最良のエビデンスに当たり、情報を上手に患者に適応し、資源を効率的に活用する方法を教えることである。

 多くの場合、家庭医療レジデンシープログラムの研修期間は3年間であり、内科や小児科の研修と同じである。家庭医療プログラムの卒業生は、臨床現場に非常によく適応できる。少数ではあるが、研修の最適な期間を調べる長期間の国家的パイロットプログラムに参加しているレジデンシープログラムもある。このばあい、期間は4年間であり、特別なコースや上位の資格を得ることができる。


専門的関心を追求したい家庭医療レジデントは、どのような複合型レジデンシーやさらなるフェローシップ研修を受けることができるか

 家庭医療教育の目標は、プライマリケアを患者、家族、地域社会に提供できるように最適な研修をすることである。家庭医はそれぞれ特有の興味を持っていて、ジェネラリストの研修の一環として、あるいは追加する形で、その分野をさらに学ぶこともできる。複合型レジデンシーにおいて深く体験できたり、レジデンシー終了後にフェローシップを選択したりすることを望む場合もあるだろう。(Table 1)

 複合型レジデンシーのトレーニングプログラムは、異なった二つの専門医プログラムの要素をつなぎ合わせたハイブリッドである。しかし、全く別の専門が二つあるわけではなく、どちらの専門もより広く認定できるように制度設計されている。現在、家庭医とのダブルボードが可能な専門分野は4つある:家庭医療/精神科、家庭医療/救急科、家庭医療/内科、家庭医療/予防医療。これらの複合型レジデンシーの期間はたいてい4-5年である。

 内科/小児科プログラムは、家庭医療とは異なる。このプログラムは、内科と小児科を4年間のレジデンシーにまとめたものである。最近のレビューによれば、内科/小児科プログラムの大半は、分娩、婦人科、外科、皮膚科、整形領域の訓練を必要としていない。内科/小児科プログラム卒業生のおよそ1/3はサブスペシャリティ志向であり、これはプライマリケアとは異なるところである。

 アメリカ家庭医療学会(AAFP)が家庭医療のレジデントが卒業する際におこなった2013年の調査によると、約14%のレジデントがフェローシップやさらに上の学位を含めた追加研修を計画している。

(以下,米国のレジデンシーの詳細が書かれているが,訳では省略する)


Table 1
家庭医療レジデンシーの卒業生が選ぶことのできるフェローシップ

思春期医療 行動医学 医療情報学 地域医療 救急医療 大学教育の質改善活動
高齢医学 健康政策 ホスピス・緩和医療 病院総合診療 HIV/AIDS
統合医療 国際医療 妊婦ケア・産科 疼痛緩和 予防医学 研究
僻地医療 睡眠医学 スポーツ医学 薬物乱用 初診外来 女性医療