家庭医療振り返りの会で行ったClinical Jazzより.
後半の「疑問の抽出」「文献検索」「Clinical Pearl」を紹介します.
疑問の抽出
「女性ひとり親世帯の家族機能はどのように保たれている(あるいは破綻している)のだろうか」
文献
「ひとり親家庭における第二反抗期」
・祖父母の関与が少ない女性ひとり親
【世代間境界がある場合】
母親が職業人として自立しており,子どもへの要求が高い
代役,仲介役,緩衝材としての父親がおらず関係がこじれる
母親への反抗が学校での問題行動として現出する
代役,仲介役,緩衝材としての役割を支援者が担うとよい
【世代間境界がない場合】
「友だち親子」お互いに依存しあう 最も注意
親を支える荷の重さが家庭外問題につながる
母親へのアプローチがうまくいかないことが多い
・祖父母の関与が高い女性ひとり親
母親が母性を維持しやすい 反抗のあり方は両親家庭と同様
「日本のシングルマザーの子育てにおける語りと社会的現実」
シングルマザーの社会的現実
①異性に対して清くなければ社会に受け入れられない
②子どもたちに心配させてしまう
③家族の事情を打ち明けるか隠すか、ダブルバインド状況
④過去の人間関係を振り返りつつ現在の親子関係をつくりあげる
⑤自らの経験は柔軟に潔く意味づけるしかない
⑥日々の困難には自分なりのやり方で対処する
シングルマザーの強み
①アイディアをわかちあい、助けを借りることができる
②子どもたちと親密な関係を築いている
③ライフストーリーを書き換える力をもつ
④人との関係性の中で自分のアイデンティティを柔軟に規定できる
Clinical Pearl
・シングルマザーの語りを促すには,祖父母と子どもの関係をドライに聴取する.
・おせっかいも考えもの.