2017年5月6日土曜日

Clinical jazz: 女性ひとり親


家庭医療振り返りの会で行ったClinical Jazzより.
後半の「疑問の抽出」「文献検索」「Clinical Pearl」を紹介します.

疑問の抽出
「女性ひとり親世帯の家族機能はどのように保たれている(あるいは破綻している)のだろうか」

文献
「ひとり親家庭における第二反抗期」
 ・祖父母の関与が少ない女性ひとり親
 【世代間境界がある場合】
 母親が職業人として自立しており,子どもへの要求が高い
 代役,仲介役,緩衝材としての父親がおらず関係がこじれる
 母親への反抗が学校での問題行動として現出する
 代役,仲介役,緩衝材としての役割を支援者が担うとよい
 【世代間境界がない場合】
 「友だち親子」お互いに依存しあう 最も注意
 親を支える荷の重さが家庭外問題につながる
 母親へのアプローチがうまくいかないことが多い

 ・祖父母の関与が高い女性ひとり親
 母親が母性を維持しやすい 反抗のあり方は両親家庭と同様

「日本のシングルマザーの子育てにおける語りと社会的現実」
 シングルマザーの社会的現実
 ①異性に対して清くなければ社会に受け入れられない 
 ②子どもたちに心配させてしまう 
 ③家族の事情を打ち明けるか隠すか、ダブルバインド状況 
 ④過去の人間関係を振り返りつつ現在の親子関係をつくりあげる 
 ⑤自らの経験は柔軟に潔く意味づけるしかない 
 ⑥日々の困難には自分なりのやり方で対処する

 シングルマザーの強み
 ①アイディアをわかちあい、助けを借りることができる 
 ②子どもたちと親密な関係を築いている 
 ③ライフストーリーを書き換える力をもつ
 ④人との関係性の中で自分のアイデンティティを柔軟に規定できる


Clinical Pearl
・シングルマザーの語りを促すには,祖父母と子どもの関係をドライに聴取する.
・おせっかいも考えもの.