日本プライマリケア連合学会が企画した,英国家庭医療学会(RCGP)指導医を招いての講習会(Training the trainer: TTT)に参加しました.
https://www.rcgp.primary-care.or.jp/
今回は,医療面接技法(consultation skill)をどう教えればよいのか,についてです.
自身を振り返って,どうしても自己流に陥りがちなところです.
しかし,家庭医にとっては肝なので,どうやって指導したらよいのか,向き合わなくてはいけません.
前提ですが,卒前OSCEのような「主訴→現病歴→既往歴→家族歴→…」という伝統的スタイルではなく,患者中心のconsultationについて考えます.
consultation modelとしては,日本だと「患者中心の医療」(PCCM)が有名ですが,英国だと知っている人は少ないようです.RCGPの指導医も本国では知らなかったと言ってました.
日本で広まった背景には,福島医大の葛西先生によるものが大きいようです.
英国だとCambride Calgary Counsultation Modelや,The inner consultationが広く受け入れられているようです.
個人的には,自分の外来はPCCMとInner consultationのハイブリッドだと思っています.
両モデルからはかなり強い影響を受けています.
医療面接のモデルは,英国で1970-80年代に多く開発されたそうです.
1950-60年代はNHSが始まって間もない時期で,GPは「二流の医者」だと思われていたようです.そこで1970-80年代に家庭医の専門性を深めようと,医療面接モデルの研究が広がったとのことでした.
講義ではCambride Calgary Counsultation Modelが主に紹介されていました.
(下図.引用はhttps://www.slideshare.net/FayzaRayes/consultation-models-15974766)
手法としては,ビデオレビュー(COT),直接観察,joint surgery(指導医の外来を専攻医が診る+専攻医の外来を指導医が診る),多職種評価,joint visit(訪問診療に一緒に行く,車内がとても重要な時間),trigger tape(診療場面の一部分を切り取り,集中的に議論する)などがあります.
1つの診察はとても複雑なので,1回で診察の全てを振り返ろうとすると大変です.
チャンクに分解することで議論がしやすくなります.
たとえば,診察の開始の場面だけを取り出して,他にどんな方法があるか試してみる,といった感じです.
これをmicro-skills teachingといいます.
micro-skillの例としては,ICE(Idea, Concept,Expectation:日本で言う「かきかえ」),心理社会的側面への言及,患者の話の要約,micro cues(患者の内面を示すちょっとしたサイン),患者の理解の確認,セーフティネット,ボディーランゲージ,タイムマネージメントなどがあります.
ロールプレイで気づいたことは以下の通り.
・評価ポイントは明確にして,事前に学習者に知らせておく
・改善点は具体的に述べる
・指導者は,気づいたところをワーッといいがち.まずは学習者自身に振り返ってもらう
・指導はポイントを絞る
今後,教育する場面が増えるので,以上を頭に入れて実践していきたいです.