Frédéric Fortin, Philippe Vorilhon, Catherine Laporte, Yves Boirie, Marc Ruivard, Marie Riquelme, Bruno Pereira, Gilles Tanguy, Profile of patients with type 2 diabetes and glycated haemoglobin ≥ 10% followed in general practice, Family Practice, 2021;, cmab161, https://doi.org/10.1093/fampra/cmab161
糖尿病は家庭医にとって非常にコモンな疾患です。
臨床での肌感覚として、ちゃんとコントロールできている人もいるし、様々な社会経済的要因やその他の複雑な要因でコントロール不良のまま何とかこらえている方もいらっしゃいます。
この研究では、1年以上家庭医が治療している、HbA1cが10以上のコントロール不良2型糖尿病患者についてのものです。
フランスのGPがフォローしている糖尿病患者のうち、上の要件を満たす104名の患者について、後方視的、横断的に情報を収集しています。データは、郵送された自記式の質問票によって収集されています。
結果として重要なものを示します。
・GPのみのフォロー:48%
・社会経済的に脆弱:47%
・治療アドヒアランスに問題:70%
・微量アルブミン尿測定されている:20%
・QOLに負の影響を及ぼす要因:
年齢、社会経済的脆弱、インスリン治療、複数の医療専門家によるフォローアップ
そして、さらに重要なのがここからです。
因子分析(multiple correspondence analysis)を行うことで、コントロール不良の糖尿病患者を2つのグループに分けられました。
第1群は、若年・田舎に居住・喫煙・社会的孤立・アドヒアランス不良・低いQOLの集団です。
第2群は、高齢・都会に居住・身体活動多い・夫婦共働き・安定・高いQOLの集団です。
私は、この区分がまさに家庭医臨床に影響を与える知見だとおもいました。
確かに、自分の臨床経験から、若年で、SDH上の問題を抱え、いろいろな社会上の課題のために治療アドヒアランスが悪い、という患者群がいることは理解していました。
そして、なかには他の病院から実質的に出入り禁止を食らった経験のある人も多かったです。
本来ケアとサポートが必要な患者が医療から遠ざけられているという状況をみたことが、今の研究のモチベーションの1つとなっています。
このような知見が広まることが、第1群のような患者が医療機関で過度の自己責任を負わされることなく、必要なケアとサポートが受けられるようになるために必要だと思います。