BMJの学習用教材は家庭医にとって必要なトピックを簡潔にまとめてくれています。
最近読むのをさぼっていたので、まとめ読みします。
〇小児の便秘
https://www.bmj.com/content/375/bmj-2021-065046
具体的な記述が多くて、そのまま家族の説明に使えます。
まずは、決して怒らないよう家族に伝えます。
シールを使うなどで報酬を与えることは効果的だとありました。これは実感としても納得です。
sitting exerciseの具体的な方法としては、毎食30分後と就寝前にトイレに座っていきむようにします。
下剤(マグコロール)を使う場合は、便秘による逆流性下痢(宿便があるために下痢が起こる)が下剤を使うと一時的に悪化する可能性があることを説明します。
そして、まずはどろどろの便にすることを目指します。
その後、維持療法を行い、最終的に、毎日柔らかい固形便がでるようにします。すぐに治療をやめるとすぐに悪化する可能性が高いので、減薬は徐々に行います。
red flagがなければ検査は必要ないとありました。
この記事には記載はなかったのですが、切れ痔の有無は確認しておくべきだと思っています。いたくて排便したがらない小児は結構いると思います。
〇ischemia with non-obstructive coronary arteries (INOCA)
https://www.bmj.com/content/375/bmj-2021-060602
よく出会う病態です。冠攣縮性狭心症+微小血管狭心症という大雑把な認識でひとまずよさそうです。
カテーテル検査で明らかな閉塞がなくても、INOCA重大な心血管イベントのリスクなので、症状緩和と予防をどちらもしっかりしていこうね、というメッセージですね。
非薬物療法としては、禁煙(当たり前)や運動の励行があります。
薬物療法としては、Ca拮抗薬やβ遮断薬が推奨されていますね。
心臓保護としてはACEI/ARBの効果がありそうだそうです。
私の診療セッティングだと、エピソードが心由来の胸痛らしく、筋骨格系由来の胸痛(案外多い)でもなさそうなら、この時点で循環器内科への紹介を考慮します。
そして、どうも閉塞なさそうだ、となった時に、INOCAとして対応するかなと思います。治療して症状がどうなるかフォローしていきます。
様々な理由で循環器内科の紹介を断る患者さんには、その場合は血管リスクに応じて安定狭心症として抗血小板薬、スタチン、β遮断薬を使いながら、生活習慣の是正を図ることもあります。
〇女性の過活動性膀胱
https://www.bmj.com/content/375/bmj-2020-063526
これも超コモンです。
非薬物的治療を具体的に指示できるようになることが家庭医にとって重要だと思います。
水分量は2-2.5L/dayとし、炭酸飲料とカフェインを除去します。
炭酸飲料については、今まで意識したことなかったです。
あとは、BMI30以上なら痩せる必要があります。
膀胱トレーニングは、おしっこにいきたくなったら5-15分我慢するようにします。
2.5時間おしっこに行かなくて済むようになるのが目標で、達成出来たらそれから徐々に伸ばしていきます。
薬物療法は、まずエストロゲン膣錠を試すようです。知りませんでした。
ただし、閉経後女性で膣の萎縮がある場合です。
効果不十分なら抗コリン薬→β3アゴニストと進みます。併用可です。
鑑別については、夜間の多尿は慢性心不全を考えるようです。
いままで過活動性膀胱mimickerで慢性心不全を考えたことはなかったです。勉強になりました。
また、排尿障害、血尿、恥骨上部痛があれば、過活動性膀胱ではないです。
感染症、膀胱がん、間質性膀胱炎(bladder pain syndrome)を考えましょう。
また、女性の排尿障害なら、子宮脱は確認しておくべきですね。
今回初めて知った概念に、latchkey urgencyがあります。
玄関先で突然おしっこにいきたくなることを指します。
トイレの近くに来ると突然おしっこにいきたくなると訴える人が、過活動性膀胱ではいるようです。なるほどです。