Mastitis: Rapid Evidence Review
・授乳による乳腺炎:米国では約10%で発症。通常は出産後 3 か月以内
・大半は真の感染症ではない。1~2日間の保存的治療 (NSAIDS、氷で冷やす、授乳を続ける、搾乳を控える) だけでよくなることも多い。
・改善なければ一般的な皮膚常在菌をカバーする狭域抗菌薬を検討。
・「まずは冷やす、そしてNSAIDs」というのは、プライマリ・ケア医としてかなり重要なメッセージだと思います。1-2日でフォローして、良くならなければ抗菌薬。
・乳汁培養の採取を検討すべき、とのこと。やったことないなぁ。
・個人的に、かなり治療に難渋し、MRSAカバーしないと治療できなかったことがあります。やっぱり病歴が大事だなと思いました。
・本文中にはかなり細かく推奨が書かれており、参考になります。Do not forget to address mental health.とあり、強く共感しました。
・乳汁産生の過剰刺激や激しい乳房マッサージによる組織損傷は高リスク。
・頻繁な授乳、乳房を空にするための過度の搾乳、加温、乳房マッサージは、症状を悪化させる可能性がある。
・最善の予防法は、乳児の正しい吸い付き方を含む適切な授乳法と、可能であれば搾乳ではなく生理的な授乳を奨励すること。
・このあたり、口述的に搾乳が推奨されていたこともあり、今でも搾乳が治療だと勘違いしている医療関係者はいるように思います。耳学問の怖さでもあります。
・そういえば、抗精神病薬による高プロラクチン血症が原因の乳腺炎をみたことがあります。珍しいなぁと思いましたが、そりゃあそうかとも納得しました。
関連文献:Tian C, Wang H, Liu Z, Han X, Ning P. Characteristics and Management of Granulomatous Lobular Mastitis Associated with Antipsychotics-Induced Hyperprolactinemia. Breastfeed Med. 2022 Jul;17(7):599-604. doi: 10.1089/bfm.2021.0341. Epub 2022 Apr 21. PMID: 35447036.