臨床、研究、翻訳と忙しく、発信したい欲が満たされたがために、あまり更新しなくなった本ブログですが、久しぶりに記事を書きます。
AFP: Chronic Cough: Evaluation and Management
慢性咳嗽についてのレビューです。
コメントしつつまとめます。
・成人では 8 週間以上、小児では 4 週間以上続く咳嗽
・成人で多いのは、上気道咳嗽症候群、喘息、非喘息性好酸球性気管支炎、胃食道逆流症、咽喉頭逆流症
・初期評価:胸部X線、スパイロメトリー、診断的治療。
・喘息疑うなら気道可逆性をみる。呼気NOや喀痰好酸球も。
・慢性咳嗽でやってくるOSASもあるとのこと。ここは要注意ですね。
・CTはあまり意味がないかも、とのこと。確かに、プライマリ・ケアレベルで、慢性咳嗽の診断がCTでつく経験はあまりないです。
・レッドフラッグ:嚥下困難、血痰、嗄声、喫煙者で45歳以上の新規症状、安静時/夜間の呼吸困難感、嘔吐、体重減少。こういうのがあれば当然CTも撮りますよね。
・薬剤 (ACEIなど)、環境、職業、曝露を評価せよ
・上気道咳嗽症候群には、結局、抗ヒスタミン薬しかないのかなぁ。
・非喘息性好酸球性気管支炎:非喫煙患者に起こるステロイド反応性慢性咳嗽
・ICS+効果不十分ならLT阻害薬。
・胃食道逆流症や咽喉頭逆流症を疑えば、禁煙、体重減少、頭部挙上、遅い時間に食べない
・PPIの有効性ははっきりわかっていないのは有名な話かと。
・慢性の難治性咳嗽には、ガバペンチンorアミトリプチリン、理学/言語療法
・でもその前に、気管支鏡や鼻内視鏡などの追加検査が必要かも。
・小児で多いのは、長期にわたる細菌性気管支炎、喘息、気管支拡張症、上気道咳嗽症候群、胃食道逆流症。自然に治まる可能性が高い。喘鳴や労作時呼吸困難がなければ2週間くらい観察してもよい。
・個人的には、小児慢性咳嗽は一度は異物誤嚥を疑うべきだと思っています。
Suzuki H, Hiraoka T, Mizumoto M, Kondo Y. Pediatric case of exfoliated primary tooth aspiration. Pediatr Int. 2022 Jan;64(1):e15261. doi: 10.1111/ped.15261. PMID: 35938601.
(↑慢性咳嗽の原因が歯牙誤嚥だったケースレポート)