特に基礎疾患のない若い女性の尿閉。診療で悩んだので勉強。
現実的な鑑別診断は以下の通り。
1. 急性尿路感染症
これは導尿して尿検査すればわかる。
2. ヘルペスウイルス感染
主に性感染症としてのHSV2感染。いわゆるElsberg syndrome。
両側腰仙髄領域の神経根炎が主病態。
Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2017 May 11;4(4):e355. によると
サドル型感覚障害 50%で、下肢腱反射亢進は30.%/消失は33.3%。
下肢感覚障害が80%で、下肢筋力低下が50%。
というわけで、sexually activeで神経症状あればMRI撮像。
必要に応じて経験的にアシクロビルで治療。
外陰部病変の有無は気にしない方がよさそう。
3. 妊娠や骨盤内腫瘍(卵巣嚢腫など)
解剖学的にそうですよね。
妊娠では子宮後屈で起こりやすいみたい。
N Am J Med Sci. 2009 Jul;1(2):54-7.
Cureus. 2022 Mar 11;14(3):e23057.
4. 薬剤性尿閉 いわずもがな
5. Fowler症候群
20代から30代の初潮後の若い女性に発症する特発性の尿閉
病態生理は複雑。尿道括約筋の異常弛緩。仙骨神経への治療的介入が試みられている。
Int J Environ Res Public Health. 2021 Mar 23;18(6):3310.
他に原因が見当たらずに継続する尿閉をみたら、早めに想起して治療できる機関に紹介するのがよさそうですね。
6. 髄膜炎
いわゆるmeningitis-retention syndrome