2025年8月12日火曜日

若い女性の尿閉

 


特に基礎疾患のない若い女性の尿閉。診療で悩んだので勉強。

現実的な鑑別診断は以下の通り。

1. 急性尿路感染症

これは導尿して尿検査すればわかる。


2. ヘルペスウイルス感染

主に性感染症としてのHSV2感染。いわゆるElsberg syndrome。

両側腰仙髄領域の神経根炎が主病態。


Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2017 May 11;4(4):e355. によると

サドル型感覚障害 50%で、下肢腱反射亢進は30.%/消失は33.3%。

下肢感覚障害が80%で、下肢筋力低下が50%。


というわけで、sexually activeで神経症状あればMRI撮像。

必要に応じて経験的にアシクロビルで治療。

外陰部病変の有無は気にしない方がよさそう。


3. 妊娠や骨盤内腫瘍(卵巣嚢腫など)

解剖学的にそうですよね。

妊娠では子宮後屈で起こりやすいみたい。

N Am J Med Sci. 2009 Jul;1(2):54-7.

Cureus. 2022 Mar 11;14(3):e23057.


4. 薬剤性尿閉 いわずもがな


5. Fowler症候群

20代から30代の初潮後の若い女性に発症する特発性の尿閉

病態生理は複雑。尿道括約筋の異常弛緩。仙骨神経への治療的介入が試みられている。

Int J Environ Res Public Health. 2021 Mar 23;18(6):3310. 


他に原因が見当たらずに継続する尿閉をみたら、早めに想起して治療できる機関に紹介するのがよさそうですね。


6. 髄膜炎

いわゆるmeningitis-retention syndrome